お久しぶりです。
新型コロナウイルスの流行もあって外出自粛中ですが、当分は道場で弓道は出来そうもありませんね…
とは言え外出自粛以前に忙しくてまともに弓も引いていませんでした。
弦を張った弓でせめて家で巻藁練習が出来ればとずっと考えていたのと外出自粛が長引きそうなことから、巻藁を自作しました。(買うと高いので…)
【注意】
巻藁の自作について調べてみて作成の参考になるブログなどがなかったため記事にしましたが、実際に読者の方が試した際に生じうる家屋の破損損害や怪我などのトラブルについては一切の責任を負いませんので十分注意して自己責任でお願いします。
また、巻藁はただ藁を束ねただけでは矢が貫通するのでかなりきつく締める必要があります。
実際に私が自作巻藁を利用する際は、自宅の完全な敷地内で安全を十分に確保して、お隣の家屋などに矢が向かない様に配慮して利用しています。
また、このブログ記事は不要不急の外出を推奨するものではありません。
必要のない外出は避けて、この危機を収束させましょう。
さて、巻藁構想ですが色々なアイデアがありました。
巻藁ネットのようなものを作るとか、ダンボールや発泡スチロールを利用するというアイデアです。
しかし、自分は14-16キロの弓を使うので巻藁ネットや発泡スチロールでは跳ね返りの危険性があると考えて後ろ向きでした。
ダンボールでやる方法のひとつにこのツイートのものがあり良さそうに思いましたが、1度刺さったところの穴が塞がらずにすぐに使えなくなりそうだと思ったので自分は見送りました。
また、ダンボールをボンドで接着しながら巻いていくようだったので、刺さった時に矢に接着剤が着くのではないかと思ったのもやめた理由のひとつです。
元々考案者(?)として紹介されていた詳しい作り方のブログ
弓道覚書:巻き藁をダンボールで作ろう! - すみれゆみ ◎← (♀
そうなるとやはり藁を使うしかありません。
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小型の巻藁でも直径30センチで奥行50センチの9.5キロです。
それならおよそ10キロ分の藁があれば作れるのではないかと思いました。
そんなことをずっと考えてはいたのですが、あまり良さそうな藁をネットで調べても見つけられずにいたので今まで見送ってきました。
しかし先日、生活用品をいつも買うホームセンターで偶然その材料を見つけて衝動的に作ってみました。
その材料が わらこも と言うものです。
冬場に松などの幹に巻くあれです。
引用:冬になると松の木にワラを巻くのはなぜ?害虫対策がスゴい【こも巻き】
これは藁がすだれの様に藁の繊維が糸で繋がっており、巻藁の素材に向いてるメリットがあると思いました。
1. すだれの様にシートになっているので巻いて円柱にしやすいこと。
2. 糸で繋がっており、完成した時にその糸が密度をあげて摩擦力が強くなって強い弓でも矢を止められそうということ。
3. 安価で手に入ること。
という事です。
おそらくただの藁を適当に束ねて縛っただけでは簡単に矢が貫通してしまい、すぐに中身もボロボロに綻びます。
という事で、このわらこもを使用しました。
ただし、巻藁にはチューブ状のまま藁が使われているのに対して、これは割られたものが使われています。
大きさは短辺が約108センチの長辺が160センチほどで、10枚で3,980円です。
全部でちょうど10キロほどでした。
ここからが、自分で考察しながら作った点になります。
まず調べてもわからなかったのが、中身が純粋な藁だけでいいのかという事です。
つまり巻藁を分解した時に全てバラバラになるのか、それともまた縛った藁の塊が出てくるのか?
おそらくですが、バラバラになるのでしょう…
機械を使ってワイヤで縛って藁紐で締め上げるのでしょうが、今回は手で締めていくので同じものは作れないと思います。
やっても、中心が緩く矢が貫通するでしょう。
おそらくそのまま締めるためには数トンというレベルの力が必要になります。
そのため今回は段階的に藁紐で縛る工程を挟みました。
しかし、この藁紐で巻藁矢が跳ね返る可能性もあるのでご注意ください。
未だにそのようなことにはなっていませんが、なにが起きるかは正直わかりません。
木でできた的枠を貫通するくらいなので問題ないとは思いますが、逆にそれだけの威力のものを射込むのでやはり注意も必要です。
まずやったこととしては、中心の芯藁の作成です。
この芯があるからきつくしまった円柱ができると思います。
芯藁が命と思って締めていきます。
わらこもをそのまま1束用意して、とにかく密になるようにきつく巻いていきます。
等間隔にぎゅっと麻紐で縛ります。
ただし、これは仮止めなので解けるようにしておきます。
おそらく、麻紐の摩擦力で止まってくれるはず。
これは自分の考えですが、巻藁に重要なのは均等な繊維質の束であることなので、とにかく均一に強く強く縛っていきます。
巻藁は繊維の摩擦力で矢を止めるのでそのことを意識するのが良いと思います。
また、中心は特に外周からの締める圧力がかかりにくいので、この芯藁はとにかくきつく締めます。
次に先程の仮止めの中間を麻紐できつく締めて結びます。
その後、仮止めしていた所を違う麻紐でさらに締めて、解けないように結びます。
最終的に仮止めの紐は外します。
このように一度に締めるのでは無く、締めて仮止めした後にさらに均等に締めていくとより強く締まります。
(わかる人にはわかるでしょうが、ドラムのスネアを張る感覚です。)
次にこれをちょうど半分になるように切断します。
金属用のノコギリで切断しました。
この1束で直径約8センチほど。
この面が矢を射込む面の中心となります。
とりあえず、この面を平らな硬い地面でトントンと整えます。
残りのわらこもをあらかじめ全てちょうど半分の長さに切断しておきます。
そして、どんどん芯藁に巻いていきます。
この時、ポイントがあります。
巻く時は射込む面を整えながら1束ずつ巻くことです。
そして、1巻する毎に中掛けを道宝で撚る様に締めていきます。
要は手で地面に押し付けながら巻き付ける方向に転がせばいいだけです。
パスタやうどんを延ばす動作と似てるかも。
こうすることで、シート状のわらこもが少しは締まります。
4束巻き足したところで藁紐で縛っていきます
縛るのは芯藁と同様に徐々に締めていきます。
出来るだけ強く締めましょう。
地面でトントンと面を整えることも忘れません。
この時、直径約18センチです。
残り15束です。
次はプラス10束くらいした気がします。(記憶が曖昧です。)
外周に行くほど直径を1センチたすためのわらこもの枚数が多くなっていきます。
ここで、また同様に藁紐で締めました。
繰り返しますが、紐で締める事に地面に面を打ち付けてズンズンと面を揃えておきます。
最終的に全てのわらこもを巻いて締めて直径が36センチまで大きくなりました。
長さは約55センチで重さは10キロです。
(撮影のため向きを変えました)
14キロの伸びの粋で引いてみましたが25センチほど刺さって矢を制止しました。
10本ほど引きましたが、今のところ跳ね返りなどはありません。
抜いた後は穴が残るようにも感じますが、引いているとその穴はわからなくなります。
個人的に満足の行く巻藁が出来ました。
自分で締めたので、使い込んでもあとで締め直せばまた使えそう(?)です。
ここからは役立ちそうなアイデア(?)です。
材料をどれくらい用意すればどのくらいの大きさの巻藁になるかと言う計算の仕方です。
計算式としては、
完成巻藁の半径=√(使う束の数)×(1束の半径)
となります。
とりあえず、1単位で買える素材の断面の直径を知る必要があります。
今回は芯藁の直径がおおよそ8センチになるとわかったので36センチ(尺二)の巻藁を目指して10束買いました。
概算として、1束の面積をSとした時に完成形の巻藁の面積はその束ねた藁の数に比例します。
とりあえず、10束買ったとして藁を半分に切れば20束になるので、完成形の面積を20Sとして計算しました。
この時1束の半径をrとするとSはr^2として計算できます。(πを用いずに比で計算です。)
完成巻藁の半径をRとするとRは√(20S)ですので、S=r^2を利用してRは2√5rとなります。
rは4センチなので完成巻藁の予想サイズは半径がR=17.84センチという事で直径約36センチとなります。
ちなみに4束足した時は半径をR'とすると、R'≒8.92センチとなるため、実際に直径約18センチだったことと照らし合わせると順当に縛れていたと思います。
これは巻ダンボールを使う時にも役立つと思うので、サイズが知りたい時には良さそうです。
早く平穏な生活が戻るといいですね。
なにとぞ健康と安全には気をつけてお過ごしください。
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追記(2020/4/26)
16キロ並寸の凜でも引いてみましたが貫通などありませんでした。
トータル50本ほどですが、今のところ跳ね返りなどなく普通の巻藁のように使えています。
※導出の説明の直径と半径をかなり書き間違えていたことに気づき、修正しました。