弓道考察モノローグ

合い言葉は肩甲骨

回内・回外の違いとは?

この記事では弓手肘の内転位と外転位の違いについて考察するもので、どちらが良い悪いと決めつけるものではありません。

また、当サイトを参考にされて肘を痛めるなどの怪我に対して責任は負えません。

あくまでもイメージや参考知識としてお楽しみいただければ幸いです。

 

 

  • そもそも回内・回外の定義とは

ここでまず肘の回内と回外についてしっかり考え直す必要があります。

用語としては回内・回外と言うのはそもそも肘の位置を固定して、そこから手のひらを内に回したものを回内、手のひらを外に回したものを回外といいます。

 

正面から見た左腕を例にしたイラストについて下にまとめると、

 

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①が腕の回外、体と手のひらはこちらを向いている。

②が腕の回内、体はこちらを向いているが腕をねじって手の甲がこちらを向いている。

③は肘の内転、しかし腕は回外運動をしているため手のひらがこちらを向いている。(注意:このイラストは極端に描いており、ここまでは曲がらないと思います)

④は肘の外転、しかし腕は回内運動をしているため手のひらがこちらを向いている。

 

もしも、③と④で回内・回外運動が起きていなければ手のひらは③で向こう側を向き、④では関節の可動範囲の関係から手のひらが向こう側に向くまではいかなくてもやや外側に向いてしまうはずです。

 

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前腕の回内・回外 | 病気がみえるvol.11 運動器・整形外科 (こちらから引用)

回内・回外の動きがよく分かるサイトがありますのでぜひ参考にご覧ください。

 

 

ところが弓道の指導の場では肘の内転の事(③)を回内(②)と表現することが多く、まずは今日の本当のテーマが意味するものは"会のときに肘が内転位置(③)にあるものと外転位置(④)にあるものの違い"の考察であることに注意して話を進めていきたいと思います。

 

テーマはおそらくこの記事にたどり着く弓道関係の方が回内・回外というワードでたどり着くことからあえてこうさせていただきました。

誤解が無いようご注意ください。

 

 

それでは改めて今回のテーマは弓手肘の内転・外転の違いについてです。

 

弓道における肘の位置はそれぞれ所属する集団によって異なるかもしれませんが、多くの人は漠然と肘は内転(③)をして引くように言われていると思います。

私も最初の2,3年間は弓構えで両肘を張り上げて会のときには内転の位置で引いていました。

 

しかしYouTubeなどの動画でアリーナで引く一流の選手達は全く肘が内転していないように思えて仕方がありませんでした。

むしろ肘は外転したときに近いような位置にあり、離れでは振れることもなく綺麗に弓の芯を押して矢は星に収束していく、そんな印象でした。

 

もちろん見様見真似で大三で肘をぐりっと反時計回りに外転させて試したこともありましたが、弓手は棒になり矢はどこかに飛んでいく程度でした。

おそらくこれに近いことを試そうとする方は少なくないと私個人は考えており、結果としてことごとく肘を痛めていると言うのが私の印象です。

 

では、なにを意識すれば弓手肘の外転がうまくできるのでしょうか。

そして外転動作における内転動作との違いはなんでしょうか。

 

以上の2つを話の軸として記事を進めていきたいと思います。

 

まず私の経験と主観で見たときに大学の全日などで見ていると③の肘内転・回外型で引く人が全体で6から7割、2割ほどの人が④の肘外転・回内型、残りその他という印象を受けます。

自分自身、弓道人生の半分以上を肘内転・回外型で引いてきたので弓手を押す感じが良くその引きやすさ自体理解できて、肘外転・回内型がコツをつかめないと大三を取るとき腕がかなりきつい状態になることがわかるので半数以上の人が肘内転・回外型となるこの割合は納得です。

 

まず比較的簡単にできる肘内転・回外型の動作がどのように発生するのかの考察、その後にその動作との違いを比べながら肘外転・回内型の動作を考察していこうと思います。

 

また今後肩甲骨が説明に出てきます。

肩甲骨がどこのどんな骨なのか馴染みのない方は以前の記事をまずご覧ください。

 

「肩」とは何処のことか? - 弓道考察モノローグ

 

また動作は正面打起しを前提として記述いたします。

 

  • 肘内転・回外型

概要として、もしこのタイプで引くとすれば弓構えをとったときに両肘がやや上方に張上げられていることが前提となると思います。

そして打起し、大三をとる際に特に弓手肘を内転させることを特に意識します。

このとき弓が伏せないように馬手の捻りを入れながら、弓手の手首を反時計回りにひねる(この動作が回外)と準備は終わりです。

このまま弓を的方向に押しながら平行に引き分けていけば会は肘内転・回外型の弓手となります。

このタイプの特徴は橈骨と尺骨が並行することです。

 

  • 肘外転・回内型

対して肘外転・回内型をするには弓構えの際に両肘を張らないことが前提となると私は考えます。

肘を伸ばしたとき内側に平らなお皿の様なくぼんだ部分ができると思います。

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この面が弓構え、打起し、大三そして引き分けながら会までしっかりと上を向いているように動作できたときにやっと会で肘外転・回内型の形になると思います。

このタイプの特徴は橈骨と尺骨がクロスすることです。

 

しかし、肩甲骨の動きをここでイメージ・制御できない簡単に大三以降の引き分け動作で肘は内転して回外型になってしまいます。

もしくは大三をとるのがかなりつらく引き分けが行えないと思います。

 

ここでさらにもう一つ肩甲骨の動作を含めて動作をパターン化しようと思います。

 

  • 肩甲骨の内旋と外旋について

ここまでは上腕骨と橈骨・尺骨からなる前腕のみで話をしてきましたが、これにもう一つ肩甲骨の動きを考慮しなければ自然な肘外転・回内型はとることができません。

 

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腕というのは肩甲骨を始点としてなっているため、全ての動作は肩甲骨の動きに大きく依存しています。

 

ここで重要なのは肩甲骨の外旋・内旋という動作です。

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肩甲骨は体とは鎖骨とただ一点で筋繊維でつながったかなり自由度の高い骨です。

骨の動きで外側に向くことを外旋、内側に向くことを内旋と表現しその両方を合わせて回旋と呼びます。

肩甲骨の動きで良く上方回旋・下方回旋などと言いますが今回はアバウトに立体的に肩甲骨がどのように回転するのかがわかれば良いと思います。

 

ここで再び弓手の構造を大まかに分類すると、

肩内旋肘内転・回外型 6-7割

肩内旋肘外転・回内型 1割弱

肩外旋肘外転・回内型 2割弱

の3つに分類できると考えています。

肩外旋・肘内転・回外型は構造的にかなり不安定で極端な例であり、意識しても動作が困難であるため排除しました。

 

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ここで注目すべきなのは②の肩内旋・肘外転・回内型です。

はじめに6,7割の人が肘を内転させていると言いましたがそういった人のほぼ全ての人が肩甲骨を内旋させて引いていると私は考えています。

これは弓構えで肘を上方に張ることにより肩甲骨が浮き上がり肋骨の山を越えるようにして、打起しで内旋動作を起こすためだと思います。

イメージとしてはバタフライで水中からかき上がり再び入水していくときのように、なにかに上から覆いかぶさるような動作と同じです。

 

そして形だけ肘が外転したものにしようと試す人はこの内旋動作の動きから大三をとり、その後無理やり肘を外転させることで②の形が出来上がります。

しかしこの場合、弓手と弓の重さを支えることが困難で肘がロックされて棒になり、離れで矢がどこに飛ぶのか制御ができません。

また、肘関節がおかしな固め方になるため痛める可能性が極めて高く、危険な状態だと私は個人的に考えています。実際何人もこの状態で引き続けて病院にかかり注射などの治療を受けている人を見ました。

 

ではどうすればよいのかというと③のタイプになるよう弓構え打起しで特に肩甲骨がすくい上がるように外旋させることを意識するのがベターだと思います。

 

特に弓構え大三まではなんとか肩外旋・肘外転・回内でできてもその後の引分けの動作で肩内旋の動作が体に染み付いている状態だと簡単に肩内旋・肘内転・回外の状態に反転してしまいます。

目割ではもうどうしょうもなくもがくと肩内旋・肘外転・回内の状態にしてしまい、棒になった弓手で矢を暴発させて諦めるという構図が生まれます。

もしも肩外旋・肘外転・回内型を試したい場合は先程も記述したとおり肘の内側のお皿が常に上を向くように意識しながら引くことがポイントだと私は考えています。

 

肩外旋・肘外転・回内型の利点とは肩甲骨の始点から親指の先までが螺旋状にねじれて伸びることで伸筋群が効率よく働く事だと考えています。

 

伸び合い、筋肉についての考察 - 弓道考察モノローグ

伸筋群についての考察がこちらです。

 

またこの記事を書くにあたり肩甲骨について調べているときにバレーボールではありますが私の考えにかなり近いことを書いている方を見つけたので参考にその記事を載せておきます。

腕のしなりと前鋸筋

 

これは私の主観ですが肩甲骨の内旋・外旋はどんなスポーツでも重要になってきて、バレエやダンス(ブレイクダンスなど)における力の伝達などにも大きく関わってくるのではないでしょうか。

 

追記(2018/10/8)

肘の外転・内転とは正しくは上腕骨の外旋・内旋によるものです。

骨の動きそのものは間違っていませんが肘は蝶番関節であるため回旋の動きは上腕骨と肩甲骨を繋いでいる球体関節によるものであり肘関節が回旋するわけではありませんので誤解されないようご注意ください。

ご指摘ありがとうございました。