弓道考察モノローグ

合い言葉は肩甲骨

伸び合い、筋肉についての考察

この記事は極端に偏った私見が大いに含まれていることをお断りしておきます。

正直誰でもない私がこう言うのは違和感がありますが、この記事に書くことは弓道の肉体の使い方に対してかなり面白い考察になると思いますので時間つぶし程度に是非ご覧ください。

 

今回の話は伸び合いについてです。

伸び合いとはなにか、弓道を始めてからずっと悩んでいました。

どんな本にも伸び合い詰合いについて詳しい記述がないのに著者によってそれぞれの解釈でごろごろと出てくるワードだったからです。

 

私が行き着いた答えは伸筋群が最も無理なく使える引き方を実行することです。

 

そもそも人間の身体は伸筋と屈筋が相互作用しながら動作しているものですのでただ伸筋を使うなどと書くと当たり前過ぎておかしな感じに聞こえます。

しかし伸筋の動きを阻害しないように引くことは身体の持ち主にしかできないことですので、そのイメージがつかめるような考察を目指してこの記事を書こうと思います。

なぜなら外側からの見た目は良くても、それが肉体の意識と動作では伸筋の働きをうまく活かしきれていない事もあるからです。

 

 

  • 伸筋と屈筋

そもそも伸筋と屈筋と言う筋肉はありません。

関節を伸ばすための筋肉を伸筋群と分類して、曲げるために動作するものを屈筋群と分類しているだけです。

なので本当は伸筋を使うと言うのは間違った解釈と言うか、筋肉(伸筋や屈筋)を使うという意味では当たり前のことなんですね。

身体の筋肉で具体例を上げるならば背筋を伸ばすための背筋が伸筋群に分類され、かがむために動作する腹筋が屈筋群に分類されます。

上腕において観察してみると、上腕筋三頭筋や肘筋が腕を伸ばすための伸筋群で上腕筋や上腕筋二頭筋が曲げるための屈筋群です。

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※筋肉の始点など詳しく知りたい方は解剖学の書籍をご参考ください。

 

指と手首は前腕伸筋群と前腕屈筋群にまとめられ細かな動きは多種に渡る筋肉で細かく動作しています。

親指に着目してみると長母指屈筋と長母指伸筋によって親指が動作していることがわかります。

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これらの筋肉の末端は腱となっており、腱鞘というパイプに包まれ滑液がオイルの役割をして滑らかな運動を可能としています。

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自転車のブレーキ部品が同じ仕組みですのでイメージはできると思います。

 

 

  • 親指を伸ばす

伸筋と屈筋を少し理解したところでなにが出来るのか。

それは親指を伸ばすことです。

少しも握り込んだり、握り込みそうになる意識が思わぬ結果につながると考えています。

弓道をやっていて行射中に関節が曲がる可能性があるのは親指だけであることがなんとなく想像つくと思われます。

その他の指や関節はすでに会で曲がることが前提の馬手肘を除いて伸びるので伸筋群が中心に作用していることがわかります。

こういった状態のとき親指だけが握り込むと他の屈筋群にも作用して他の伸筋の働きを抑えてしまうので十分な伸び合いが得られなくなるというのが私の考察です。

 

そこでポイントなのが両方の親指の中手骨がしっかり地面と水平となり的方向を向くことが最も腕の筋肉が合理的に働くと思われます。

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弓手を例にとって見ると、中手骨が伸びていれば肘から腕を伸ばすだけで同じように弓を押せるのがイメージできる。

 

もし曲がった状態で会に入った場合伸筋と屈筋のバランスが崩れ代償運動としての動きにより思わぬところに力のバランスが傾き離れとともに様々な方向にぶれる様な再現性の低い運動になると思われます。

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※親指を握り込むようにして弓を押している。結果うわ押しもかかる。

 

しかし細かいことを言えばどちらの指先も巻き込んで指が曲がっています。

もっと厳密に言うならばすべての中手骨が伸びる状態が理想だと考えていますので、中手骨より先の関節が曲がることはあまり問題ではないと思われます。

 

ただ馬手の人差し指と中指は帽子を抑えるための負荷があるため他の指よりも伸ばす意識がより必要だと思われます。

そのためには唐沢光太郎先生の弓道読本に載っている指の第二関節までを伸ばす鈎の手の内で最も合理的に伸筋を活かすことができると思われます。この鈎の手の内は詳説弓道弓道三昧、みんなの弓道や現代弓道講座などの書籍でも評価を得ている手法なので現在絶版ではありますが今回の記事が面白いと感じた方はとても興味深い考察が展開されていますので図書館などで見つけて一読することをおすすめします。

 

 

  • 馬手肘について

親指と同じくらい大切なのが馬手肘です。

しかしこればかりは流派や射手の好みによっても異なることなので、どちらがどうと言う話ではありませんが残心を見ると馬手の屈筋群がどのように使われているかがわかると思います。

 

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※武射系の斜面打起しの場合残心で馬手肘がやや屈む(?)

比較的歴史が新しい礼射系(正面打起し)の場合は大離れで一文字に近い残心になると様々な参考本でも言われています。

武射系(斜面打起し)の場合は参考にした本(弓道指導の理論と実際)でもやや馬手肘が屈んだ状態の残心であり、斜面の場合はこのような残心であることが多い印象です。

おそらくですが武射系の射法は上腕筋を締めるようにしていた古来の小離れが名残として残っているのではないでしょうか。私は斜面の引き方や正しい伝統を知らないので間違っていたら申し訳ありません。

ちなみに弓道教本はどちらとも取れない中間のようなイラストになっているのでなんとも言えませんが、そもそもこれだけ異なるものをまとめているので致し方ないことですね。

 

そしてこれらの差は肘を曲げようという随意運動であるかどうかで異なると思われます。この場合は上腕筋が盛り上がるため力こぶができているように見えて肩甲骨も背中からやや飛び出る。

肘を曲げるには屈筋群(上腕筋、上腕二頭筋)が主として働いており、離れた直後はこれらの筋肉が強く収縮しており、その緊張のため曲げた形が残ると思われます。

もし大きな一文字の残心をとりたい場合は意識で肘を曲げるのではなく腕を下ろしてきた状態でひとりでに畳まるような動作を目指すと良いのではないでしょうか。

つまり、腕の内側の筋肉を緊張させないようにリラックスして肘を(裏)的方の方に伸ばすことで離れた直後に屈筋群が弛緩していることで真っ直ぐに残心が取れるようなるというのが私の考察です。

 

以上素人目から見た解剖学風の弓道の考察でした。

もし疑問やこれは違うと思うことがあればそういったところから研究を始めて真実に近づくことができればより自分らしい弓道ができるのではないでしょうか。

このブログはあくまでも一意見として楽しんでいただければ本望です。

 

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